INTERVIEW
ちはるさん(インタビュー)
RUALA
ヘアデザイナー/代表取締役
- それではまず簡単なご自身のプロフィールをお願いします。
-
ちはるです、ルアラの代表取締役で、美容師としては原宿で27年目になります。
キャリアのスタートはACQUAです。当時のACQUAはまだ原宿店の1店舗だけでした。23歳の時に最年少でスタイリストデビューして、26歳で店長も任せて頂きました。
ちょうどそのころに結婚もして、当時は原宿エリアのサロンの第一線で活躍しているスタイリストで既婚者ってあまりいなかったと思うので珍しかったかもしれません。そんな感じで仕事でもプライベートでも色々経験しながら、ACQUAではトータルで15年ほどお世話になりました。
その後、現在のパートナーの角さん(ACQUA時代の先輩)と、自分たちでずっと長く働いていけるお店を作ろうっていう思いでRUALAを7年前にオープンし、現在に至ります。
- 当時のアクアといったら原宿の美容室のなかでもやっぱり知名度・人気も頭ひとつ抜けていた存在でした。
-
本当にすごかったですよね。あの頃はめちゃくちゃ忙しくて毎日がお祭りのようで(笑)サロンワークがとても楽しかったです。
当時はまだ一店舗だったので綾小路さんや野沢さん、青山さん、そしてその他の幹部のスタイリスト、後に美容業界で活躍される先輩方がたくさん所属していてスタイリストも30人くらいいました。毎日目まぐるしくて20代の記憶がほぼないといっても過言ではないですね(笑)
私はアシスタントの頃から手荒れが酷かったので、スタイリストになりたての頃から、当時お取引のあったシュワルツコフさんやミルボンさんなどのメーカーの方に「肌に優しいものを作ってほしい」とか「シアバターなどを使った製品を作ってほしい」と提案していたんです。
今はオーガニック系の優しいものがいっぱい出てきてますが、当時のものは刺激が強くて、肌が弱い人にとってはワックスひとつでも痒くて、特にシャンプー材はもう気が狂うほど痒くて(笑)
そういう自分の経験があるので、やっぱりお客様に対して肌に優しいものや、身体に良いものを使いたいっていう思いが強くて、、、美容師になった最初の頃からずっと考えていた気がします。
- その頃は確かに、今みたいに肌に優しいものって本当になかったですよね。
-
そうなんです。
アシスタント時代の私が手荒れが酷かった時に、森内さん(現:GARDEN Group/Un amiオーナー)が当時の材料係だったんですけど、メーカーの方に「うちにこんな手荒れしてる子がいるんだけど」って色々言ってくれたりして、優しいシャンプー剤などを集めてくれたりして。
- すごく良いチームですね。あの当時だとそういうのは珍しいんじゃないかと思います。
-
そうですよね。ありがたいかぎりです。
同期の子がカラーシャンプー代わってくれたり、代わりにお通し(お客様を席へ案内すること)を多めにさせてくれたりもして、、美容師を続けていられるのは手荒れが酷いのを乗り越えられたからなので、当時の仲間に感謝の気持ちでいっぱいです。
やっぱり手荒れしたら美容師って続けられないなっていうこととか、あとは美しくなるために頭皮や身体へ刺激やダメージを与えてしまうみたいな、美しくなる/美しくきれいでいるためには何かを我慢したり犠牲にしなきゃいけないっていうのもまた違うような気もするなとか、そういうこともアシスタントの頃から感じていたように思います。
- 当時は美容師を続けたくても手荒れが理由で辞めてしまう人もいました。
-
いました。でも最近はあんまり聞かなくなってきましたね。
昔のほうがシャンプー剤の成分が酷かったり、今みたいに手袋してシャンプーしていいよっていう時代じゃなかったですもんね。とにかく美容師は手荒れして仕方ないとか「手袋はダメ」みたいな。今は時代も考え方も変わってきてますから、手袋をしてシャンプーもできるようになってきていますよね。
そういう点でLILAYみたいな肌に優しい商品が増えてくると安心ですしとても嬉しいです。お客様に使いながら自分にもハンドクリーム的に使える要素もあったりで、本当に昔に比べると色々と優しい時代になってきたなっていうのは、30年近いキャリアを通じてすごく感じています。
でも私、未だに手が荒れるんですよ。(手を見せて頂く。確かに荒れていました。)
ここの指(人差し指と中指)はカットで髪を挟む指なのでやっぱりここが一番荒れていて、もう指紋がないくらいになっていて。もともと弱いっていうのもあるとは思うんですけどね。今はほとんどシャンプーはしないし、ほとんどの事を手袋して施術しますけど、こうやってちょっと油断するとすぐ荒れちゃうんです。
私はジアミンアレルギー(ジアミン:ヘアカラーに配合されている染料で、ヘアカラーリングを行うことでアレルギーを起こすことがあると言われている)なので、カラーをすると耳とかに水ぶくれができちゃうんです。だから私自身は白髪染めもカラーリングもしてないんです。ハイライトはしてますけどブリーチには基本的にジアミンが入ってないので。
- 担当の美容師さん肌が弱い方だと、同じような悩みがあるお客様の場合は安心できると思います。
-
私と他の美容師さんとの違いっていうと、そういう肌の弱い方の気持ちが体感でわかるところだと思います。
例えば私は自分が洗われるときシャンプー台のネープクッション(シャンプー中に首の後ろに当てるクッション)にラップをひいてシャンプーするので、首元が荒れやすいお客様には同じようにしてさしあげます。なのでRUALAはそういう細かなところにも気配りができるような「健康で美しく、より優しい美容室」でありたいなって思っています。
- やはりそれは自分も肌荒れに悩んでいるから、ということですね。
-
そうなんです。肌荒れやアレルギーって今は大丈夫でも、いつか突然、何十年か後に荒れ出すかもしれないんですよね、花粉症や食物アレルギーみたいに。
だからなるべくその可能性を減らしてあげて、カラーや白髪染めをずっと楽しめるようにとか、長い目でみて一緒に健やかに年を重ねていくつもりでお客様に接しています。だからなるべく負担のない薬剤を使ってあげたいんですよね。その他のヘアケア剤も含めて。
- ふだん肌が荒れないタイプの人は、荒れやすい人の気にする度合いがなかなか理解しづらいと思います。
-
そう、若い頃は特に手荒れが本当に酷かったので、手が痒くて夜寝れないとか、指を曲げるのが痛いとか、気が狂いそうになることもありました。それこそ手を切って捨ててしまいたいと思うくらい辛かったですね。
でも今思えばそういうふうに肌の弱い人の気持ちがわかる美容師さんもいなきゃいけない。そういう意味では神様に選ばれたんだろうなって思っています。
- そこががまさに先ほども言われていた、ご自身の強みのひとつですね。
-
はい、肌荒れに悩む方のことを一緒に感じてあげられるのはもちろんですけど、逆にそうじゃない方にも、薬剤にしてもスタイリング剤にしてもそれぞれのメリットデメリットも含めて何を提案していくべきかを考え、適切な使い方などのアドバイスをしています。
- 今はオーガニックとか優しい商品が多くなりましたけど、昔はそういう商品は少なかったです。
-
本当になかったです。たまにそういうものに出会っても、オリーブオイルのようなナチュラルオイル系で、ものすごく重たくなる印象でしたね。最近のものはちゃんとシャンプーで落ちるし、手触りも良いし質感コントロールさえもできるし、すごく進化してますよね。
- ご自身の強みはそのままサロンワークで心がけていることやお店のモットーにも繋がっていますか?
-
そうですね、さっきお話したした「お客様と一生お付き合いしていく」ために、そしてずっと綺麗でいていただく為にはやっぱり健康でいて頂きたいと思っていますから、健康を保つことのお手伝いも大事と考えています。
その一環というわけじゃないんですけど、ルアラでは施術中お客様に「湯たんぽ」をお貸ししているんです。【頭寒足熱】(頭を冷やし、足を暖めること。よく眠れ、健康によいという)を推奨しています。
湯たんぽはドイツのファシーっていうブランドのもので、中に普通にお湯を入れるだけなんですけど、めっちゃ気持ちいいんですよ!(目の前でお湯を入れて頂く)試してみて下さい、ちょっと熱いかもしれないですけど(笑)
- ありがとうございます。(試しに膝の上に置いてみる)あーこれはあったかくていいですね!
-
そうなんです!美容室って空調はしっかりしてますけど、頭が濡れている時間が長いので、意外と寒く感じたりするんですよね。そういう方には湯たんぽを使って頂いています。これも長い目で見て健康でいてもらうためのアドバイスで、いまの季節なんかは寝る時に湯たんぽを使うと最高なのでおすすめです。
あとこれはまた違う話なんですけど、一昨年に角さんが体調を崩して半年くらい休んでいたことがあって、多発性筋炎という、自分の免疫が自分の筋肉を攻撃して炎症をおこすといった原因のはっきりしない病気になったんです。今は元気になったのですが、健康の大切さを角さんと2人して痛感しました。
その後ご縁があり角さんがルアラに医学療法士の先生を連れてきて、美容師さんが元気でいるためのストレッチ講習会みたいなのを月1回開いていただくようになったんです。今は角さんがそれをお客様のカウンセリングのなかにも取り入れたりストレッチを簡単に教えたりしています。
今年はただ美しくなるだけじゃなくて、健康に対してのアプローチできるようなことをお客様のためにもしたいねってちょうど2023年の年明けに話していて、例えば更年期のこととか、家族間だと意外と理解してもらえなかったり話しにくかったりすると思うんですよね。そこを病院の先生でも、看護士さんでもない、私達がいかに親身になって話を聞いてあげられるか?とか、アドバイスというか病院に行ってきてくださいとか、、少しでもリラックスして安心して頂けるか?とか、そういうサロンになりたいねって話していたんです。
- LILAYのご購入者アンケートでも、LILAYを知ったきっかけや購入した動機は「美容師さんに勧められて」が一番多いんです。やっぱり美容師さんのお話やアドバイスは説得力があるということだと思うので、仰るような取り組みはきっとお客様にも伝わると思います。
-
ありがとうございます。コロナ禍でもほとんどダメージがなかったし、それってやっぱり長く通って頂いているお客様のおかげだと思います。これからも美しく長く健康でいてもらえるような取り組みをしていきたいですね。
- こうして1人の人とずっと10年20年って繋がっていける仕事って他にはあまりないですしね。独立したりお店が変わっても来てくれたりとか、なかなかないと思います。
-
ですよね。ルアラがオープンしてからずっと心がけているのは、お客様がいかにリラックスして快適に過ごしてもらえるか、自分でもお手入れが楽で素敵な髪型を作れるかとな、再現性があって簡単に褒められて気持ちが上がるヘアに仕上がるかということです。
あとは店販率にもつながるのですが、自宅でサロンと同じシャンプーやスタイリング剤を使って頂く事で、お手入れが格段に楽になります。私のお客様も「スタイリング剤は何がいいですか?」とか「今日はどういうものを使えばいいですか?」って毎回聞いていただけるんです。
その都度良いものをおすすめはしているんですけど、やっぱり使っていくと飽きがきちゃったりするんですよね、そもそも女子は飽きやすいというか、そういう生き物なんですけど(笑)
なので色々試してみながらも、結局はこれに戻る、みたいな自分の中での定番品があるといいですよね。それを使ってお家でも再現しやすかったり、ストレスなく過ごせるようなスタイル作りのお手伝いができればお客様も美容師も安心ですね。
- 健康面、ビューティーの面と、両面を良くしてあげられるということですね。
-
そうですね、両面でプロデュースしてあげられたらと。
- スタイリング剤の定番、レギュラーのお話がありましたが、サロンワークで使われているLILAYの商品はどちらですか?
-
トリートメントバーム、フリーバーム、オールユアオイルですね。
- それぞれどんな方におすすめしているとか、サロンワークでの使い方などを教えて頂けますか?
-
トリートメントバームはオールマイティーな感じで、オールユアオイルは髪へのなじみがすごく早いので、多毛な方とかにもおすすめしています。あとは忙しい方とかせっかちな方にもいい(笑)
フリーバームは男性にもけっこうおすすめしていて、ツーブロックスタイルでこれまではグリースとかジェルを使ってトップを流したりオールバックにしてたメンズの方とかがリモートワークになって、家ならフリーバームでいいんじゃない?みたいなすすめ方もしています。ショートの男性や軟毛の方にはフリーバーム、それ以外で艶っぽくしたい方はトリートメントバーム、みたいな使い分けをしてますね。
個人的にはオールユアオイルが一番好きで、髪だけじゃなくて身体にも使えるところがいいですよね。髪からそのまま足や乾燥が気になる部分に伸ばしたりもしてます。
- お客様の男女比率はどのくらいですか?
-
8対2くらいで女性が多いです。私のお客様もお店全体で見てもそのくらいだと思います。
かなり前ですけど私はメンズ雑誌のチョキチョキで『ドクター湯尻のスタイリング講座』っていう企画持ってたので、その頃はすごくメンズのお客様が多かったですね。(湯尻=ちはるさんの旧姓)
若い男の子たちに家にあるスタイリング剤を持って集合してもらって、なりたい髪型を聞いてこのスタイリング剤じゃ合ってないよとか、こうなりたいならこういうのを使うんだよっていう説明をする企画をしてたんですよ。
意外とやりたいヘアスタイルとスタイリング剤があってない方がいるんだなと再認識させられて、、それって美容師の説明不足だなって感じました。その頃から来てくれている方たちももうみんな大人になっちゃいましたけど、いまだにこれ使ってみてって言ったら使ってくれますよ(笑)
- LILAYの商品は店販として購入されていくお客様もいますか?
-
いますいます、結構いますよ。評判もめちゃくちゃいいです!
私はトリートメントバームとオールユアオイルが好きなのでおすすめしていますけど、角さんはフリーバームが好きみたいで、他社のバームは伸ばしたときにツブが残るんだけど、フリーバームは残らなくていいって言っていますね。
私ももちろんフリーバーム使ってるので、トリートメントバームと使い分けるときはそれぞれテクスチャーとかセット力に違いがあるよっていうふうに説明しています。女性でフリーバームを使う場合はやっぱり短めの方のほうが合いますね。
- あとはやっぱり肌に優しい、刺激が少ないということもポイントですか?
-
そうですね、使ったあとも手を洗わなくても大丈夫だし、手に残ったものをそのまま肌に使えるって言えるところがLILAYの1番の特徴ですよね。
あとは私が初めてLILAYを使ったときにすごくいいなと思ったのが、伸びの良さでした。あとは香りですね。
2019年の秋くらいにタイチ(元アクア同僚の菅野太一朗さん:LANVERYオーナー)のところに髪切りにいったときにLILAYを使ってくれて、そのときに伸びと香りがとても良かったから自分のところにも入れたいなって思ったのがきっかけでした。
- バームでもオイルでもたくさん競合商品がある中で、LILAYが選ばれている理由はどういう部分だと思われますか?
-
やっぱり香りの良さがあると思います。
好みはありますけど例えばリンクバーム、あれだとちょっと香りが強めで香水っぽいんですよね。だからたまに使うのはいいけど、何個もずっとは使わないかなとか、お食事に行く前にには控えめにしたりとか季節によっても使おうっていう気になるときとならないときがあるんですけど、LILAYはシチュエーションや季節を問わず1年通して使いやすい香りなんですよね。
また違うバームを使った際には時間が経つと酸化して嫌な香りになるような感じがして、朝につけると夜になったときの香りとかが嫌だなって思ってたんですが、LILAYはそういう時間経過で嫌な香りに変化するようなことが無いのもポイントです。
あとはさっきも話した伸びの良さ。他のバームを使うと白いのが残るってお客様に言われることもありましたが「これめっちゃいいじゃん!」ってなったのがLILAYなんですよね。
いま流行っている濡れ感とか束っぽい感じを出すのにもぴったりだし、今の時代にマッチしてますよね。あとどんな髪質の方でも合うのがLILAYのいいところですよね。
- ありがとうございます。では最後に、インタビュー記事に載せたいので写真撮らせて頂いてもいいですか?今日着られているトップスいいですね。
-
ありがとうございます!ところでACQUAの綾小路をご存知ですか?
- はいもちろんです。残念でしたよね。(※綾小路竹千代さん:ヘアサロンACQUAの会長。2022年9月19日に逝去)
-
これ、綾小路さんのお下がりなんですよ。
- 本当ですか?すごい!
-
昨日ちょうど形見分で頂いたので、今日取材に着ていって顔写真撮ろうと思って(笑)ご家族も喜んでくれるかなって思って着てきたんです!
- そうなんですね!それじゃしっかり撮って載せますね!本日はありがとうございました。
-
ありがとうございました!